人生で間違いなく一番観た映画。
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『アウトサイダー』(1983年/アメリカ)
あらすじ
オクラホマ州タルサ--この町は、貧しい“グリース”達が住むイースト・サイドと、金持ちの“ソッシュ”達が住むウェスト・サイドに二分されていた。グリースのメンバーで、リーダー格のダラスといつもつるんでは町を遊びまわっていた親友のポニーボーイとジョニーはある日、2人で夜の町を歩いていた所を酒に酔ったソッシュ達にからまれてしまう。そして、多勢に無勢で叩きのめされていたポニーボーイを助けようとしたジョニーは、正当防衛で逆に相手のリーダーを刺してしまう……。(allcinemaの「解説」より抜粋)
「感想」への感想
実は僕は滅多に「観た映画の感想」は読まない。
なので映画のレビューサイトはほぼ下調べ(観るor観ないの判断)の為にしか利用しないから、以前は観たことのある映画の検索は殆どした事がなかったんだけど。
ブログで映画の記事を書くようになってからはタイトル表記と製作国と上映年を確認するようにしていて、今回も同じように『アウトサイダー』を検索していたらその評価のあまりの高さに驚いて(失礼)ついつい幾つかのレビューを読んでしまった。
その中に「自分だったら死ぬかもしれない時に”黄金でいろ”とか言わない(そこが嘘っぽい)」というような事を書いていた人がいて。
映画の受け取り方なんてそれぞれだから、その人にとっては嘘っぽい、で終わっても仕方ないけれど。
だけど絶対に言うの、ジョニーは。
ジョニーだから。
おそらくそんなに学のないジョニーが、町を出た事も夜明けや雲の色を気にとめたことのないジョニーが、金色の粒子を散りばめたような朝焼けのなかロバートフロストの美しい詩を初めて知る。
それがどんなに心に焼き付くか、どんなに全身を満たすか、それはあの知らないことだらけの、不安と傲慢の塊の、未知の”何か”に触れて感動するたび「それこそが世界」だと思う、単純で未熟で多感な若さが、そう言わせる。
あの朝の中の瞬間の永遠を、忘れないでくれ。
グリースやソッシュやそのほかの何もない、ただ二人の人間がそこにいて、心を通わせたあの美しい時間を忘れないでくれ。
「黄金でいろ」
僕がジョニーでも絶対に言う。
マット・ディロン
僕が当時もう憧れに憧れたのが彼。
というかダラス(役名)。
その人となりとかではなく、完全にビジュアル。
特にタバコの吸い方がもうめちゃくちゃカッコよくて、梅田の雑貨屋なんかを巡ってロウマッチ(なかなか点かない)をわざわざ買ってそれでタバコ吸ったり。
ゴツい指環と似たような上着も買ったり。
人物としてはかなりダメ人間だったけど。
彼には「仲間」はいても「友」がいなかった。
ジョニー達が経験したような共感も時間も誰とも持たずに、その乏しい人生経験から学んだタフさが全て、という自己暗示だけでやっていこうとした。
というより、それしか出来なかった。
「仲間」ってある意味匿名だから、「友」を持たないダラスはあの映画の中で一番孤独に見えた。
そんなところも結局は好きだったのかも。
意外な映像美
そして、この映画の一番良いところが「映像の美しさ」だと思う。
乱暴に纏めると「暴力と友情と成長の若者映画」なこの作品。
そのテーマからすると映像の美しさなんて全く必要を感じない。
なのに。
冒頭のブラインド越しの光とか、ダラスとジョニーとポニーボーイの3人で歩く街角の陰影とか、その後のドライブインシアターの夜とか。
物語が進んで、ジョニーとポニーボーイが訪れる古い教会での風景はもちろんの事、ランブル(喧嘩)の前にチェリーがポニーボーイに会いにくる黄昏時の二人のシルエットとか。
僕は夕方から宵にかけての空や空気の色が物心ついたときから好きなんだけど、この映画の空気の色はちょっと別格だなって思う。
史上最高の主題歌
インストゥルメンタルでは名曲があり過ぎてなかなか1曲に絞れないけれど「主題歌」の中でならもう断トツで。
『Stay Gold』Stevie Wonder(1983年)。
当時はサントラもシングルも発売されなくてかなり長い間「幻の名曲」だったんだけど。
今はサントラも出ているし、スティービーのアルバムでももちろん聴ける。
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もう35年も経ってしまったけれど。
輝きは、そのままに。