放課後
僕の好きだった
背表紙を読む
物語も偉人も出来事も
そこに潜む
軋む椅子の音
何処かで覚書の
鉛が文字に変わる
色取り取りの紙の上
兵隊の整列のような
サーカスのブランコのような
ときに観客は去り
読みかけの頁に戯れる風
宵闇
僕の好きな
静寂と秘密
不思議なほど音の無い
まるで深海みたいな
部屋の隅々まで
ゆっくりと泳ぐ
紙と塵のにおい
ゆっくりと吸い込む
何度も手に取った図鑑
絶滅は悲しいことなのか?
その答えが欲しくて
欲しくて
僕はいまも暗い底を泳ぐ
インターバルは、今夜まで。