What’s up?

日々がたとえ繰り返しだとしても、僕はそれを愛しているんだ。

キーワードは「進化」

なぜ人間は、互いを傷つけ合い地球環境を脅かすのか?
悪い結果につながるとわかっていることを、続けてしまうのか?

1月8日からNHKで放送されている『ダイアモンド博士の”ヒトの秘密”』(全12回)。

 

銃・病原菌・鉄 上下巻セット

銃・病原菌・鉄 上下巻セット

 

 

『銃・病原菌・鉄』でピュリッツァー賞を受賞した進化生物学者であり、生理学者、生物地理学者でもあるノンフィクション作家ジャレド・ダイアモンドが自身の著作『第三のチンパンジー』をベースに人間が抱える諸問題を独自の視点で語る。

というような導入だったんだけど、第1回『チンパンジーからヒトへ1.6%のドラマ』が期待していたような内容じゃなかったので観続けるか迷ったけれど、第2回『動物のコトバ、ヒトの言語』が面白かったのでちょっと書こうと思う。

第2回の大まかな内容は「ヒトは進化の過程で言語を手に入れたが動物はどうなのか、そしてヒトはどのようにして複雑な言語を獲得したのか」について。

冒頭の「同じ単語を使っていても並び替えると文章の意味が変わる」という例を紹介していてその例題がちょっと笑った。

your hungry dog bit my old mother’s leg.
(あなたの おなかの空いた 犬は 私の 年老いた 母の 足を 噛んだ)
my hungry mother bit your old dog’s leg.
(私の おなかの空いた 母は あなたの 年老いた 犬の 足を 噛んだ)

これはヒトが「言語」と「文法」を手に入れたことによって「言語」しか持たなかった頃よりもより複雑な会話が可能になったという例でもある。

そのあと「言語の働きを持つと思われる鳴き声」を駆使して集団生活をしているベルベットモンキーやプレーリードッグの研究の話があって。
ここでの結論はそれぞれに数種類の「単語」は持っているけれど「文法」のようなものは無い、なんだと思うけれど、他にも例えば「超低周波で”会話”をしている」とされている象はどうなのか、とかもやってほしかった。(テーマから外れるし時間もないとは思うけれど。)

そして今回「ピジン語(異なる言語を持つ者たちが交易などの為に作り出した簡単な単語のみの言葉)」と「クレオール言語(ピジン語を話す親を持つ子供たちの世代が作り出した複雑な言語)」の話がとても面白かった。

その「クレオール言語」を研究すると、どの地域の言語にも似たような文法の特徴が見られることから「普遍文法(生まれながらにあらゆる言語に適用可能な文法を持っている)」という理論が生まれ、この能力によってヒトは複雑な言語を成立させ得たと推測している。
(「普遍文法」についてはその存在の有無や批判も多いようだけれど、それも含めて興味深い。)

番組の最後、現在およそ7000語ある言語がこのままいくとそう遠くない将来6800語は消滅する、言語が失われると文化もバラバラになってしまう、という事が語られた。

僕は、それは、いい事のように思える。
多くの人々の間から「言葉の壁」が消え、固執・執着している「文化」が消えれば、世界中に溢れる揉め事の大半は一緒に消えそうな気がするんだけど。

「多種多様な文化」は博物館や書物の中にだけあればいい、というのは乱暴かな。

 

知の逆転 (NHK出版新書)

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  • 作者: ジャレド・ダイアモンド,ノーム・チョムスキー,オリバー・サックス,マービン・ミンスキー,トム・レイトン,ジェームズ・ワトソン,吉成真由美
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2012/12/06
  • メディア: 新書
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『銃・病原菌・鉄』と合わせて今年中には読もう。

まだ1月だし、きっと読もう。