「Google Earthの夜」に聴いていたアーティスト、最後を飾るのは中森明菜。
というか、聴き始めたのは彼女からで。
次に久保田→Wink→トップス→オザケン、の順番だったんだけど。
書きやすそうな順に取り上げていたら、綺麗に逆回しになった。
唯一聴き続けているアルバム
80年代半ば、女性アイドルの勢力図が大きく「聖子派」と「明菜派」に二分されていた頃。
僕はどちらの”ファン”でもなく、どちらの楽曲もアルバムも含めて(明菜は13th、聖子は15thまで)聴いていて。
シングル・アルバム共に軍配は圧倒的に聖子に上がるんだけど。
1985年にリリースされたアルバムに於いては、聖子はもちろん他の誰のどのアルバムよりも彼女のこの8枚目が際立った輝きを放っていた。
BITTER AND SWEET AKINA NAKAMORI 8TH ALBUM(紙ジャケット仕様)
- アーティスト: 中森明菜
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2006/06/21
- メディア: CD
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『BITTER AND SWEET』中森明菜(1985年)
安定の陽水『飾りじゃないのよ涙は』で軽快に滑り出して、2曲目『ロマンティックな夜だわ』がもう超カッコイイ!
僕がこのアルバムを聴くきっかけになったのが当時よく行っていたカット屋で流れていた明菜のライブビデオ『BITTER & SWEET 1985 SUMMER TOUR』。
(余談だけど、ライブの1曲目『これからNaturally』(『十戒(1984)』B面)もかなり好き。ていうか彼女はB面の方が好きだったな。)
天井から吊り下げられたブラウン管のモニターをぼんやりと見ていたらこの曲が流れてきて。
全身にビリビリって電気が走ったみたいな感じがしたのを覚えている。
3曲目は静かな情念(怨念?)の籠ったバラード『予感』。
何というか、彼女と飛鳥涼は親和性がすごく高い。
気がする。
そして4曲目は詞・松井五郎による華やかで妖しい『月夜のヴィーナス』。
わざとらしい さみしがりは嫌よ
ピアスまで 許すのに
ってとこが、松井五郎らしい。
5曲目。
このアルバムを僕にとって永久不滅のものにしたゴージャスな名曲『BABYLON』。
このメドレーを聴き終わって即レコード店へ走った。
(ついでにここからジャーメインも聴くようになった。)
言わずもがなの僕の「best song of 中森明菜」。
そしてここからB面。
(って思って作ったと思うし。)
バラエティに飛んだ構成のA面から一転、ここからはどれも洗練されたシティ・ポップが並ぶ。
まずはハジける角松敏生『UNSTEADY LOVE』。
溢れるスピード感に乗せてまさに”UNSTEADY”な恋の終わりを歌った良曲。
あと個人的に(って全部そうだけど)。
僕はベースのベキッとかビキッとかが聴こえてくると反射的にアガる。
ラテンな前奏で始まる7曲目はアルバムいち可愛い『DREAMING』。
8曲目『恋人のいる時間』は彼女らしく声が伸びるアップテンポな佳曲。
そして6曲目とは打って変わってスローな角松敏生『SO LONG』。
しかも今度は女が男を振っているんだけど、それがかなり我儘な言い分で。
だけどこれを聴く度、実際の彼女もこうだったらその後のキャリアはもっと違ったものになったんだろうな、と思ってしまう。
最後の10曲目は吉田美奈子のスローナンバー『APRIL STARS』。
このアルバムの明菜はどこを取ってもアイドルではなくシンガーなんだけど。
このラストソングは圧巻。
本当に、まだまだこれから、だったのに。
唯一大好きなシングル曲
明菜のシングル曲はどれもコンセプトがガチガチだったりその世界観が好みじゃなかったりで、ほんとにこれといって好きな曲がなかったんだけど。
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『SOLITUDE』(1985年)
これは初めて聴いた時からすごく好きだった。
湯川れい子のぶっきらぼうな愛の言葉と、タケカワユキヒデのエキゾチックな旋律と。
明菜の抑えてはいるけれど確かな歌声と。
少し憎んで すぐ忘れてね
言われたくないけど、言われてみたい。
それにしても。
これ聴く度いつも「うまく云えなくてごめんね」どころじゃないだろう、と思う。
BABYLON以来のトリハダ
毎晩のように有線が入っているマンションの友人宅に入り浸っていた頃。
その夜も二人してべろべろに酔ってタバコの火でボヤ騒ぎを起こしたりなんかして(最低)。
絨毯びしょ濡れだしどっか出ようか、って言っていた時に流れてきて、耳を奪われた。
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『愛撫』(1994年)
壁に埋め込まれたスピーカーに耳をつけて聴き惚れた5分間。
詞・曲・唱の3つの才能が干渉し合って増幅する『SOLITUDE』が”静”の共鳴ならこちらは”動”の共鳴。
べろべろに酔ってたし、泣いたね。
僕の人生の底で聴いた、僕によく似た恋の歌。
ちょっとだけ、懐かしい。
以上。
「Google Earthの夜」、終り。