だいたい10年間隔くらいで「名作映画を観てみよう強化期間」がやってくるんだけど。
先月半ばから再びその波が来ている。
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『道』(1954年/イタリア)
簡単なあらすじ
旅芸人のザンパノは芸の手伝いをする女が死んでしまったため、その姉妹のジェルソミーナをタダ同然で買い取った。粗野で暴力を振るうザンパノと、頭が弱いが心の素直なジェルソミーナは一緒に旅に出る。(Wikipediaより抜粋)
ざっくりと感想
この映画を観るのは二度目で、初めて観たときにはめちゃくちゃイライラした覚えがある。
絵に描いたようなダメ男のザンパノにではなく、そんなダメ男に付き従うジェルソミーナにだ。
「付き従う」と言っても唯々諾々とではなく反発も感じれば無力ながら反抗もする。
それでも決定的な行動には全く出ずに、それどころかザンパノに対して情のようなものまで湧いてくる始末。
何故なんだろう?
旅の途中で出会う綱渡りの男にも、その男とジェルソミーナの係わりにも僕はイライラした。
道中何度かザンパノから逃げ出せる機会も動機もあるのに、ジェルソミーナはザンパノから離れることをしない。
みんながみんな「わざわざ幸せにはならない方」ばかり選んでいるように思えた。
何故なんだろう?
そう思って観ているうちにある意味幸せな日々の繰り返しはあっけなく断ち切られ物語は結末へと向かう。
今回観返してみて、全然違う映画に思えた。
喉の奥が痛むくらい、何度も涙が込み上げてきた。
これはそれぞれの、どうしようもない愛の物語なんだ。
ジェルソミーナの、綱渡りの男の。
お終いにはザンパノの。
「わざわざ幸せにはならない方」を選んだんじゃなく、愛した者、愛されなかった者、愛を知らなかった者がそこに居ただけなんだ。
あのイライラは僕の淋しさだったんだと思った。
映画はしばしば「それを観るのに適した年齢」があると思う。
それは「この映画は何歳」というものではなくて、ある人は20歳、僕は45歳、またある人には一生訪れない、という風に。
初めて観たときには全く記憶に残らなかったけれど。
ザンパノとジェルソミーナが砂浜で過ごすシーンと、綱渡りの男とジェルソミーナが警察署の前でお別れをするシーンがとても好き。
あれはきっと誰にもある、人生の美しい一日。
最後に
これは色んなところで書かれているだろうけど、テーマソングが本当に素晴らしい。
*映画未見の方は画面は絶対に見ずに音楽だけ聴いてください。
Nino Rota 映画「道」 La Strada ~ Gelsomina
あそこへ、あの分かれ道まで、戻れたら。