ノンアルコールの夜

もうかなり昔から、文章を書く時にはアルコール摂取が必須だった。
けれど所謂「アルコール中毒」になった事はなくて、と言うのも、そうなる前に二十歳で内臓をガツンと壊し、医者から丸一年の断酒を勧告され、僕はそれに渋々従ったからだ。

「このまま飲み続けたら、」
「絶命しますか？」
「いや、たぶんしない。また中途半端に助かって、それでも止めなければ倒れる・治療するを繰り返したのち、」
「絶命しますか？」
「それでも、たぶんしない。病院に来る人で絶命するまで酒を飲み続けられる人は滅多にいない。とことんまで悪くなって、そこから一生酒を止めて、代わりに薬を一生飲むことになる」

もう、質問する気は起きなかった。
「あとね、一年止めたあと、週に最低一日は休肝日作りなさい。出来れば二日。一生お酒飲みたいんならね」
そういう訳で、僕は週に二日の休肝日を、それからずっと守っている。

なので、このブログを始めるにあたって、一番乗り越えなければならなかったのはこの「休肝日二日」と「摂取が必須」の矛盾点をどうするか、だった。

ブログで稼ぐ努力をしてみる、という決意を固めたのは今年の8月。もともとやっていたブログとHPを一年振りに動かそうと思ったタイミングで、「ただの自己満足で無駄にする時間があるなら、ちゃんと足掻いてみよう」と。

その頃から、飲まない日には、何でもいいから文章を書く練習を始めた。
何一つ書けない時には、目についた本のタイトルとか、流していた歌の歌詞とか、いろはにほへとちりぬるをとか、とにかく素面でキーを打ち続けた。

そして10月。
お酒を飲んでいなくても、どうにかこうにか文章が書けるようになった。
（そもそも僕は、努力もせずに出来ない出来ない言い過ぎるんだけど。）
それと、少しは、書くスピードも上がった。気がする。