またひとり。
豊かで、濃やかで、美しい図書館が燃えた。
昨晩、高山真さんが亡くなられた、と、明智抄さんの時と同じくTwitterのトレンドに名前を見つけ、その訃報を知った。
お会いした事は勿論ないけれど、高山さんの文章との出会いは2004年頃だから、一方的なお付き合いは結構長い。
多彩な経験と博い知識、鋭敏な感受性と軽やかなユーモア、極上の審美眼と冷徹な洞察力、それらを自在に織り交ぜて書き上げられる文章の、一番素晴らしいと思ったのは、慈愛に満ちた語り口だった。
自身が持ち得、磨き、磨かれた高い能力を、人を、物を、世界を、愛するためにのみ使っている。
それは、とても衝撃だった。
僕は普段から、エッセイやコラムを積極的に読む方ではなかったし、今もそうだけど、初めて目にして以来、高山さんのエッセイは欠かさずに読んでいたし、更新を心待ちにしていた。
なので、ラブピースクラブの連載も止まり、はてなブログも今年1月の新年の挨拶から更新されていなかったので、体調が思わしくないのかな、とは思っていた。
けれど何となく「きっとまた嬉しい報せがある」と漠然と思ってもいたので、いま、すごく寂しい。
とても、嬉しかったコラム。
引退発表後、何度も何度も読んだ。
誰よりも突出した「芸能」の才能を持ちながら、「芸能界」には最後までなじめなかったフツーさを併せ持つ。それこそが、安室奈美恵を唯一無二の存在にしていたのかもしれません。一年後からは、本当に静かな生活だけを望むアムロちゃんが今から想像できるようです。ここからの長い人生、せめて彼女が、本当に望んでいる生活、あれほど好きだった歌とダンスを捨ててまで欲しかった生活を、ちゃんと手に入れられますように。
この部分、ほんとに。
高山さんの人柄が偲ばれる。
- 作者:高山 真
- 発売日: 2007/09/26
- メディア: 単行本
実は、本は一冊も持ってない。
ので、この辺りから読み始めてみたい。
ウェブ上の文章も、いつまで残していてくれるか分からないし。
読み返して、好きなものは保存してしまおう。
高山真さん、あなたは「愛の人」だった。
本当に長い間、ありがとうございました。
ご冥福をお祈りします。