今月4日に録画したきり観ていなかった『地球ドラマチック』の「オオカミと羊飼いの男~ルーマニア 冬の森の物語~」をやっと観た。
本来は群れで生きるのがベストなオオカミ、主人公のリーダーが若い挑戦者に敗れ、その群れを去るところから映像は始まる。(負けても群れに留まることは可能だが、この元リーダーはその選択をしなかった。)
文字通り一匹狼になった元リーダーは、空腹を抱えてカルパチアの山野を流離ううち、カラスという相棒を得る。空からカラスが獲物を探索し、オオカミがそれを仕留める、という役割分担だ。
雄の大人のオオカミは、一日に3キロの肉を必要とするらしい。だけどもう何日も食料にありつけていない。(道中のイノシシ、仕留められれば暫く狩りの心配がなくなっただろうに。)
一週間が経つ頃、カラスがウサギを見つけて、オオカミが今度こそ仕留めて、一匹と一羽はその小さな獲物を分け合った。
冬の森のもう一人の主人公、羊飼いのボスティナじいさん。彼は数百頭の羊を5匹の牧羊犬と共に守り、暮らしている。
最近、羊を狙ってきたオオカミの群れにそのうち2匹を殺され、カルパチアン・シープドッグの子犬が2匹、新たな牧羊犬候補として加わった。
「羊飼いはオオカミを憎む、だけど殺さない」
終わり、ボスティナじいさんは森へ入っていって、ただそこにいた。オオカミの存在を感じながら、同じように、自分の存在をオオカミに知らせるために。
共に生きるために。
生き物は、雲や霞を食べて生きていく事は出来ない。
命は、命を食べてしか生きていけない。
冬の夜、命の遠吠えに、耳を澄ませて。