What’s up?

日々がたとえ繰り返しだとしても、僕はそれを愛しているんだ。

「同じ空の下 君がやすらかで 幸せであれと願うよ」

続・その魅力が、3割方伝わればいい。

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では。
明智抄シリーズ、最終回。

瘴気がヒトを狂わせ災いをなす

『パンドラ』

前編・後編の2巻からなるハートウォーミング・ホラー。

って、なんだ?

と思うかもしれないけれど。
ほんとにそうだから。

ざっくりとしたあらすじは。

人間のゆがんだ想念のかたまり・”瘴”。 瘴を喰う主計(かずえ)、と瘴を封じ導く希み(のぞみ)のコンビが、絶望の淵から人々を救う──。


「おまえが吸収されてしまうと、現世姫(うつしよひめ)があらわれない。そうなれば、この地上は永遠に救われないもので覆いつくされるだろう」

主計は、人々の負の想念を浄化し救うただ一人の存在・現世姫として羽化するのか。
それとも……。
(後編・裏表紙より抜粋)

乱暴にまとめると。
「正の感情」と「負の感情」とを巡る人間性の戦い。

なんだけど。
その描き方がやっぱり鋭いし、深いし、何より温かい。

そして。
『パンドラ』全7話、本当にすべてがいい話なのに、絶妙のタイミングで笑いのジャブを入れてくる。

そこがまたイイ。

パンドラ 完全版(前編) <明智抄名作選2> (明智抄名作選 2)

パンドラ 完全版(前編) <明智抄名作選2> (明智抄名作選 2)

パンドラ 完全版(後編) 明智抄名作選3 (明智抄名作選 3)

パンドラ 完全版(後編) 明智抄名作選3 (明智抄名作選 3)

ちなみに前編には『パンドラ』第1話〜第4話と「朝日ソノラマ版あとがき」と『ファンタスティック』(『毎日のセレモニー』収録作品)と「近頃の苦しみとか悲しみとか」(描き下ろし)が、後編には『パンドラ』第5話〜第7話(最終話)と『女の十字架』『女の勲章』(共に『女の十字架』収録作品)と「あとがき」(描き下ろし)が収録されている。

花咲けるリリカル・サイコホラー!!

『野ばらの国』

短編が6作入っていて、どれもこれもかなり苦しい。

そして内容が『図説オカルト恋愛辞典』の世界と被っているからか、1話目と2話目に「島田くん」(『図説〜』の主人公で霊能者)が出てくるのがちょっと嬉しい。

出色は『えみちゃんといっしょ』

爆笑した次のページで号泣とか、このマンガでしか経験ない。
(ただ、虫とグロが苦手な人にはオススメしにくい。)

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野ばらの国 (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ 102)

野ばらの国 (ぶんか社コミックス ホラーMシリーズ 102)

このキャッチ考えた編集さん、明智抄をきっと好きだと思う。

小学生・楓、目指すは最強のくのいち!

『少女忍法帖』

はっきり言って『少女忍法帖』自体は読まなくていいかな。

結構「明智節」ではあるし、ところどころ面白くはあるけど、ここまで書いてきた作品群からしたら胸を打つような描写やセリフなんかが殆ど見られない。

だがしかし。
同時収録に前に書いた『野ばらの国』一冊まるまると、『だれもいない部屋』というこれまた「島田くん」が活躍する短編と描き下ろしの「あとがき」(1ページだけだけど)が収録されていて、かなりお得。

少女忍法帖 (ホラーMコミック文庫)

少女忍法帖 (ホラーMコミック文庫)

『野ばらの国』のおまけとして考えれば『少女忍法帖』もアリだと思う。

花咲けるリリカル・ホラー!!

『河童少女―エンコウショウジョ』

親に殺された子供は
エンコウになるんだよ。


空いた腹も痛む頬も
ひび割れた心臓もぜんぶ忘れて
尻子玉抜いて笑って暮らそう。
(裏表紙より抜粋)

もうね。
1話目から、しゃくり上げて泣いた。

河童少女―エンコウショウジョ (1) (ぶんか社コミックス)

河童少女―エンコウショウジョ (1) (ぶんか社コミックス)

キャッチから「サイコ」が取れてるけれど、こちらもなかなかに「サイコ」。

最後に。
自費出版の「明智抄単行本未収録作品集」の数冊もいつか欲しいな、と思いつつ。

それよりも。
明智抄の名がもっと知れ渡って。

新作が読みたい。
読み続けたい。

彼女の創る物語は、きっといつか、世の中を変える。

かもしれない。