What’s up?

日々がたとえ繰り返しだとしても、僕はそれを愛しているんだ。

「生まれて死ぬことは尊いと知っていたわ」

ずっと読み返してはいた。
今日こそは書こう、と、何度も。

だけど例によって例のごとく、キーが進まない。

kugatsusuiyou.hateblo.jp kugatsusuiyou.hateblo.jp kugatsusuiyou.hateblo.jp

で。
決めた。

明智抄の作品とその魅力を余すところなく伝えたい、という高望みは捨てて。

7…6…5…4割、いや、3割方。
伝わればいいかな。

ていうか。
一度、読んでみて。

お願い。

反省はするが 後悔はしない

『砂漠に吹く風』

時間軸的にもストーリー的にも『サンプル・キティ』の後を継ぐ、人間とクローンとアンドロイドが存在する未来の世界で繰り広げられる群像劇。

全2巻の、まずは第1巻。

アンダーソン財団で次々と生み出される天才科学者“シロッコ”のクローン達。
彼等は財団が用意した一般家庭で幼少期を過ごし、成長すると大人のシロッコ(クローン)とシンクロする事で何世代分もの知識と感情の記憶を共有し、宇宙の様々な企業へと派遣されていく。

シンクロするだけでコピーが作れる「マイク=スミス(いくらでもいる)」と陰口を言われながら。

と。
ここから物語はシロッコ達の抱える「死の病」と、それを救おうとする「この世でただ一人マイク=スミスではない(シンクロしない)シロッコ」を軸に一気に進んでいく。

サイコノヴェルという脳で直接体感する「VRソフト」、その作家である「キャンセルベビー」、愛しい人に会える「紫の海星」、僕の大好きなジャングル=オービン。

それらが絶妙に絡み合い、天才科学者”シロッコ”とは何者でアンダーソン財団がどうしてクローンを生み出すテクノロジーを開発するに至ったか、という過去の物語へ第2巻が誘う。

もうね、本っ当に面白い。
そして。
漫画本たった2冊、とは思えないほどのこの物語の凄まじい厚み。

1巻冒頭のルーシィとの別れから始まって、1冊読む間に何十カ所も心に刺さるような心理描写が続く。
2巻のある場面ではいつも、嗚咽が止まらないほど泣いてしまう。

我が身の不幸を
ぞんぶんに
嘆くべきだろう?


そして
それに飽きたら


それから


生きていく


砂漠に吹く風 (1) (Beam comix)

砂漠に吹く風 (1) (Beam comix)

砂漠に吹く風 (2) (Beam comix)

砂漠に吹く風 (2) (Beam comix)


ちなみに。
僕はこの復刻版を持っていないので、来月あたり、おねだりしてみる予定。
(値段的には何の問題も無さそう。)

フレデリック=ヨーク少佐(大っ嫌い)

『死神の惑星』

『砂漠に吹く風』2巻の続編、ではある。

けれど「シロッコの物語」と並行して『サンプル・キティ』からずっと背後に見え隠れしている壮大な時間を巡るパラレルワールド的「片思い」の別ピース(?)と、ゲノム編集によって生み出された超能力(テレパシー)を持った双子たちの運命と呪縛がメインで描かれている。

そして、鈴木エリザベート。

母親の胎内にいる時にガス事故に巻き込まれ、母親の死後とり出されて培養槽に入れられた瀕死の赤ん坊だった彼女。
数年後、人々の善意と彼女自身の生命の持つ「生きる」という力でその身に”奇蹟”が起こる。

やがて17歳になり、常人と変わらないところまで回復した彼女はハイペースで学校の勉強を始め、「社会」についても少しずつ学んでいくんだけど。

「思い通りに動く身体と十分に物事を考えられる脳」を持った幼児って、やっぱり「世間」からはズレるかもな、と。

なんていうか。
よく言う「暗黙のルール」とか「空気」とかを察知する能力って殆どが誰かに教えられたものじゃなくて自らの経験でしかも無意識に身に付けたもので。

それは個人の資質に依るところも大きいだろうけど、やっぱり「時間」はかなり重要な要素だと思うし、「歪な土台」の上に「マトモ」なものを積んでいくのって、きっとなかなか難しいと思う。

まあ。
何一つポイントのずれた判断をしない、正論しか言わない彼女が。

なぜ「歪」に見えるのか。
「マトモ」とは何なのか。

そういうこともストーリーとは別に、ずっと考えてしまう。

そして。
テレパシーを持った双子たちのそれぞれの執着と昇華。

嘆くのも


悔いるのも


そのあとで
ゆっくり
やればいい…


死神の惑星(ほし) コミック 1-3巻セット (アイズコミックス)

死神の惑星(ほし) コミック 1-3巻セット (アイズコミックス)


この『死神の惑星』『砂漠に吹く風』の終盤のモノローグの対比に鳥肌が立つ。