What’s up?

日々がたとえ繰り返しだとしても、僕はそれを愛しているんだ。

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG / Solid State Society

覚えているだけで4回は観ている『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』とは違ってこの続編の2作は共に一度観たきりだったんだけど。

kugatsusuiyou.hateblo.jp

やっぱり。
S.A.C.が一番面白い。

それは僕が「強い9課」「強い少佐」が好きだから。
初めて目にしたキレイでカッコいい物語をなぞり慣れているから。

今回、同様にほぼ10年振りに観た2nd GIGとS.S.S.は。
以前とは少し違う印象だった。

消費と言う名のクリエイト行為

『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』(2004年)

本作は『S.A.C.』から2年後の西暦2032年が舞台となっている。「個別の11人」を名乗るテロリストの事件を発端に、公安9課復活の経緯から9課と敵対する内閣情報庁の登場と暗躍、個別の11人事件と、それに伴うクゼの登場からその追跡の模様、その他一話完結のストーリーを織り交ぜながら展開していく。後半は内閣情報庁の情報操作や工作活動によって国民の難民への不信感と反発がさらに増し、その結果として生じた招慰難民の一斉武装蜂起、クゼによる「革命」や自衛軍による出島総攻撃、米帝による出島への核攻撃などが描かれる。(Wikipediaより)


2nd GIGの大きなテーマは「難民問題」。
この世界での日本は多数の難民を(戦後復興の労働力として)受け入れて各地に居住区を設けていたんだけど、景気が持ち直すにつれ国民は難民をだんだん厄介者と感じはじめ、それに対し難民も独立を考えるようになっていた。

そんな情勢に乗じて難民を一つにまとめ独立へ導こうとする人物「クゼ」と、すべてを後ろから操り難民問題を含む日本の社会そのものを思い通りに動かそうとする人物「ゴーダ」とが現れる。

というこの二人に繋がる話と独立した1話完結の両輪で進んでいくカタチはS.A.C.と同じで。
テンポもいい。
ストーリーの奥行きで言えばおそらく2nd GIGの方が深い。

だけど。

自分では何も生み出す事無く何も理解していないのに、自分にとって都合の良い情報を見つけると逸早くそれを取り込み踊らされてしまう集団。

とか、

水は低きに流れ、人の心もまた低きに流れる。

とか。

この「攻殻機動隊」という世界を生み出し、現実を理解し、未来を視るための情報を正しく取捨選択できる人達が警鐘を鳴らしても、聞かなければいけない者、聞きたくない者には決してその音は聞こえない。

と、暗い気持ちになったし、今回もまたそうなったけど。

だからこその”STAND ALONE COMPLEX”なんだな、と。
全シリーズを通してのタイトルは、そのまま制作者達の僕らへの”ワクチン”なのかも。

「独立した個人が全体として集団的な行動を取る」

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その「個人」が「自分の義務と権利を秤にかけて、権利に先に重りをのせなくば」。

少なくとも僕は、低きには流れない。

子は親に、ロボットは人に似る

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』(2006年)

「個別の11人事件」後、草薙素子が公安9課を去って2年経った西暦2034年。草薙が失踪したことにより組織の変革を余儀なくされた9課は、課員を大幅に増やし「10の力で1つの事件を解決する組織」から「8の力で3つの事件を解決する組織」へと方針を転換。加えてトグサをリーダーに任命し、新体制の下で犯罪の抑止にあたっていた。 バトーはこれになじまず、新入隊員の訓練教官を務める傍らで「個人的推論に則った捜査」として単独行動を取っていた。そんな中、梵字の刺青を入れた男たちが相次いで不審な自殺を遂げる事件が発生。彼らはシアク共和国のカ・ルマ元将軍に忠誠を誓い、マイクロマシンによるテロを画策していた工作員であることが判明。それについてカ・ルマの嫡子であるカ・ゲル大佐が取り調べに応じたが、突如として国外逃亡を図り、人質を取って新浜国際空港に立てこもる。トグサ率いる9課はカ・ゲルを追い詰めるも、彼は突然「傀儡廻(くぐつまわし)が来る!」と叫び、トグサの目の前で拳銃自殺してしまう。この一部始終を、失踪したはずの草薙が離れた場所から監視していた。 立てこもり事件から数日後、単独で捜査を行っていたバトーは草薙と再会する。草薙はバトーに「Solid State には近づくな」と謎の警告をする。捜査が進むにつれ、バトーは草薙が「傀儡廻」ではないかと疑い出す。(Wikipediaより)


前2作とは異なり長編1話完結であるS.S.S.の大きなテーマは「少子化と高齢社会」。
「薬害」「難民」ときて、これもまた深刻で出口の見えない問題。

それにしても。
あれだけの内容を粗くも荒くもならずに109分で描ききっているのが本当にスゴい。

これまでのシリーズのエピソードが伏線のようになって「傀儡廻」の正体が浮かび上がる。
無意識下での意思の融合、電脳を通じて繰り返す並列化。

「これほど身勝手な正義感を持ち合わせている人間は、お前の記憶の中にもそうはいないはずだ」

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society [Blu-ray]

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正義、は風に吹かれているけどね。

さあ。
あとは映画、3本。